Bridge Executive Interview ~ 第9回 ~
システムインテグレーション市場の近況
エグゼクティブインタビュー第9回目は、株式会社 アイ・ティ・フロンティア 執行役員 営業企画担当 渡部 輝行氏にお話をお伺いしました。(※渡部氏のプロフィールはこちら)
写真左_弊社代表吉田
「本日はお忙しい中お時間を頂戴いたしましてありがとうございます。御社は現在システムインテグレーション、アウトソーシングを主軸に特に大企業相手のビジネスを拡大中ですが、現在の御社の置かれている環境、営業状況、市場をどのように捉えていらっしゃるか、まずはお聞かせください。」
写真右_株式会社 アイ・ティ・フロンティア 執行役員 営業企画担当 渡部氏
「既存のアウトソーシングサービスも順調に推移しておりますが、近年の傾向といたしましては、私どものお客様の中でも内部統制等の対応の絡みから長年ずっと使っている基幹のシステムを社内の要求にあわせて再構築する企業が増えています。SAPを使っての基幹システム再構築が重点エリアですね。このビジネスが大変順調に成長しています。」
吉田
「やはり最近の流れからしましても、待った無しの内部統制への対応をスクラッチではなくERPをベースに構築というのがトレンドのようですね。」
渡部氏
「ホストのダウンサイジング化、それにBPRを兼ねてSAPで再構築したい、さらに内部統制の要請に応える・・・・。新しい環境に打って出るために、また業態の変革のために基幹システムを再構築したいというお客様企業が増えています。会社の統合が増えているのも、内部統制・BPRのための基幹システム再構築の需要が高まっている要因のひとつですね。」
吉田
「御社の場合、システムインテグレーションというある意味、形の無いものを他社と差別化しながら営業活動をしていくということでは、製品や決まったサービスを営業するのとは違う環境ですが、お客様に対する営業活動というのは、やはりPMや技術側主導で提案活動をされていくのでしょうか?」
渡部氏
「弊社の営業活動にはいろいろなパターンがあります。直にお取引をする場合もありますが、特定のプライムベンダーを経由して弊社が受ける場合もあります。プライムベンダーと弊社のPM・営業担当の信頼関係は非常に大切ですね。
大規模な基幹システムの案件の場合、上流のBPRから一気通貫でプロダクトまでの落とし込みができる幅広くスキルの高い人材の確保、育成も重要です。」
吉田
「大企業に対するシステムインテグレーションのお仕事ですと、既存客からのお仕事が多そうに
想像されますが、新規顧客獲得についてはいかがでしょうか?大規模なSI案件だけを既存顧客への深堀から受注することに絞っていらっしゃるのでしょうか?」
渡部氏
「いいえ。弊社にとって新規顧客発掘も営業の課題のひとつですね。確かに既存顧客への深堀、追加開発が多いのですが、基本的には開発から維持・保守のご提案にながれていきます。私どもがやろうとしているコアのSIの強みを生かすためには、新規の顧客を獲得していかなければならないと考えています。」
吉田
「そうですよね。やはり企業の最大の資産であるお客様をいかに継続的に増やしていくかは継続的な成長の為には必須ですよね。ところで御社は2001年に5社が統合され、多くのタイプのお客様が混在する中での統合で、様々な営業施策を打たれ事業拡大をされてきましたが、近年は大企業向けSIに主軸を移す営業方針へ転換されているようにお見受けできますが、その経緯をお教えください。」
渡部氏
「弊社の強みを生かすためです。アイ・ティ・フロンティアの強みは株主である三菱商事と日本IBMとの関係の深さです。弊社と同規模のSIよりも、価格競争だけでなく、高付加価値のものを提供できる実績と環境がある。そのアドバンテージを生かせるのがSAPを利用した大企業向けのSIだったためです。」
吉田
「ところで、渡部さんも営業のご経験が長くいらっしゃいますが、御社の市場における渡部さんがお考えになる理想的な営業スタイル、営業像をお聞かせください。」
渡部氏
「月並みですが、上流でお客様の抱えている課題をしっかり認識理解して、自社でできることと、パートナーを使って提供できることを組み合わせ、最高のソリューションとして仕上げることができる営業が理想ですね。社内リソースと外部パートナーのバランスは大切ですが、営業の提案内容が自社だけでできる範囲にとどまっていては、ビジネスの拡大に限界があると思います。ある意味商社的な発想に立ち、お客様の問題を解決するなら何でも調達して解決してやるぞ、という思考が理想ですね。」
吉田
「やはり渡部さんも三菱商事の方ですのでそのような発想になるのでしょうか。確かにIT業界もオープン化が当たり前の世界では、市場にある最も強いものをリソースも含め調達してソリューションとして組み上げてお客様にご提供すると言うのは必然の流れですね。その理想の営業を実現するために御社ではどのような施策を行っているのでしょうか?」
渡部氏
「過去から継続している研修は当然継続・強化して実施していき、従来のSI営業のやり方を継続・強化させていく一方で、コンサルティング経験者の人材採用を強化や、必ずしも社内のリソース、従来の組織だけに頼らない新しいビジネスモデルを試しています。変革の激しいIT業界では、常にコスト構造を見直し、競争力を維持していくサービスを提供していくには、どういった工程がお客様のニーズにはまるのか、ということを考えて必要なリソースを外部調達して組成して提供するというアプローチを現在模索しています。」
-市場の変化-
吉田
「SaaSのようなソリューションをSIはどう捉えているのでしょうか?先日もあるSaaS系のセミナーに顔を出してきましたが驚くほどの参加者でびっくりしました。やはり脅威として感じることはあるのでしょうか?」
渡部氏
「ありますね。SaaSの魅力は圧倒的に工期が早いことにあると思います。その分野のソリューションの需要が高まっていることは脅威といえば、脅威です。しかしながら、自分たちの従来のシステム構築のやり方を打ち消す脅威と位置づけるのではなく、SaaSモデルによるシステム構築のやり方を将来的には自分たちの業務取り込んでいくことを視野においています。
『システムを資産として持つ』、という考え方自体が変わってきている。私どももSIとしてその変革に備えていかなければならない、それに沿った人材育成もテーマのひとつですね。利益率確保も大切ですが、お客様にとって次の核となるソリューションはなんなのか、半歩・一歩先を常に考えていくことも重視しています。最近はお客様が既にWebで製品情報を詳しく知っている、営業担当が「こういう商品があります、いかがでしょうか」だけの提案では太刀打ちできません。導入後の絵姿までさまざまなソリューションを組み合わせて提案できなければなりません。」
吉田
「ますます営業の1人のスキルに依存していかなければならない状況にありますね。プロセス分業のような考えを取り入れることはあるのでしょうか?」
渡部氏
「数は少ないのですが、中堅のお客様への営業活動には取り入れています。中堅企業のお客には広く多くのアプローチが必要です。その実行には自社だけのリソースでは難しい。プロセス分業を行い、アウトソーシングを活用することもあります。あらゆることに備えて、さまざまなことを試し続けていくことが大切ですね。」
吉田
「やはりIT市場は変化が激しいので、その変化に対応する為にいつも営業戦略の見直しは日常茶飯事ですね。本日は大変貴重なお話を有難うございました。」
渡部 輝行(わたべ てるゆき)氏
株式会社 アイ・ティ・フロンティア
執行役員 営業企画担当
1978年 三菱商事 株式会社入社
2000年 株式会社 エイ・エス・ティへ出向
2001年 5社統合により、株式会社 アイ・ティ・フロンティアへ出向
2004年 執行役員就任。 営業部門担当を経て現在に至る。