営業改革事例

Case001:アイ・エム・エス・ジャパン株式会社 営業企画部

~世界へ向けて展開、営業プロセスの標準化~...

主人公はアイ・エム・エス・ジャパン株式会社 営業企画部ディレクター 加藤 修司 様。
世界100ヶ国以上を拠点に、メディカル・ヘルスケア業界へ向けてマーケットリサーチ・コンサルティングサービスを提供するアイ・エム・エス・ジャパン株式会社。
約1年半前、業界をほぼ独占状態で突き進む同社に着任した加藤様に、営業改革の牽引者としての取り組みついてお伺いしました。

 

――御社では「営業改革」への取り組みはまずどんなことから始めたのでしょうか?
2006年3月に着任して、始めに手をつけたこと、それはCRMの導入です。着任当初、日本ではAccessをベースにCRMもどきをやっているに過ぎませんでした。会社の目標に対する売上予測においても、営業の現場は、ほとんど関与していませんでした。つまり、当時は、会社のゴールと個人のゴールのアライメントがまったく取られていなかったのです。加えて、会社のビジネスモデルが大きな転換期を迎えていたために、チームアプローチを可能にするビジネスツールが必然的に必要になっていました。従来の医薬品データ・情報の販売を中心としたビジネスから、より付加価値の高い情報サービスの提供、価値提案営業へ転換するためには、どうしてもチームでのアプローチが必要になります。そのために必要な他部門との連携をどうするか、を考えるとやはりCRMが欠かせないことがよくわかります。今、あげたようなことを実現するには、Excel, Outlookなどでは、非常に困難ですよね。前職でCRMを売っていた立場から、今度はCRMを利用する立場になり、その重要性を実感した次第です。

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――CRM導入については、多くの企業でその定着・徹底に苦労していますが、御社ではどうでしたか?
導入した当初はもちろん、今でもさまざまな問題があります。やはり可視化されるわけですから、あまり見られたくない情報を営業はCRMに入れないですよね(笑)
本質的に営業というのはコントロールされることを嫌うタイプの人間ですから、そこでいくら「入力しろ」って言ってもムダです。どちらかといえば、入力が面倒臭いというより、指示を受けることが嫌なんですね。常に会社から追いかけられることも非常に嫌がります。

 

――では、そんな営業に対してどんな手を使ったのでしょうか?
それは、私が着任して最初に手をつけたもうひとつのことで、営業教育です。
CRMツールの導入で、いろいろな企業が抱えている問題は、CRMがマネージメントツールになっていることにあります。このマネージメントツールをいかに彼らの、営業ひとりひとりの現場のツールにするか、これは非常に難しいテーマではありますが、まずはここをポイントに営業教育を実施しました。自らプログラムを考え、講師を務めて・・・(笑)

 

――自らも講師をなさるのですか(驚)!外部機関の研修を取り入れるのでもなく、自ら研修を実施したのには何か意図があるのでしょうか?
日本での認知度は低いですが、世界的には100ヶ国以上でオペレーションを展開していて、米国の優良企業TOP50に入るほどの会社にもかかわらず、それまで営業に関する研修制度らしいものはありませんでした。弊社のサービス内容は非常にニッチで、医薬品業界の知識が必要になる業界なので、新入社員を大量に雇って育てるというよりはむしろ、即戦力になる人、できる人を常に雇う体制でしたので、研修に重きは置いてなかったわけです。ですが、CRMの導入には営業教育が必要と考えていましたので、優先度を高くしたのです。

 

――外部研修に頼らない営業教育で伝えたことは何だったのでしょうか?
大事なのは、ツール(ノウハウ)ではなく、マインドです。私が最初に導入した教育というのは、人間という土台、その本人がいかに自分でマインドを変えていくか、いかに彼らに主体性、ひいては一人一人にリーダーシップを持たせるか、というものです。子供の頃であれば、親が悪い、学校が悪い、景気が悪いなど他者責任でもいいかもしれません。
大人になっても、確かに他者責任的な状況がないとは言えませんが、悪い環境・条件の中、自分に何が出来るか、どんな小さなことでもいいから考えてもらいたいのです。またそういう気持ちを起こさせること、に注力しました。
営業各々に主体性がないと、会社のゴールと個人のゴールとのアライメントに「ぶれ」が生じてしまいます。全社員が同じ方向を向くときこそ、会社は強くなるわけですから。会社と個人とのアライメントが取れ続ける会社が勝ち続ける会社というわけです。

 

IMS06.JPG――加藤様のいる営業企画部はまさに営業部に近いところに存在する支援部隊ですね。

その通りです。一番身近の、最良のベストパートナーですし、そうあり続けたいですね。
お客様が成功し幸せになること、営業(もしくは会社)がベストパートナーとして認められること、お互いがWin-Winのリレーションを構築できることが営業のゴールなら、営業企画部のゴールも一緒です。そのゴールに向かって、エンドトゥーエンドで支援するのが私の組織のミッションです。そして、営業は売上を上げることも第一義的なミッションとして持っています。では売上をどう最大化するか。ひとつは、営業活動の量を増やすこと、そして、営業の勝率を上げること、このふたつの掛け算になります。営業企画部のミッションも完全にこの二つなのです。営業活動の量を増やす手はたくさんあります。では営業の勝率を上げる手は、というと営業のスキルが非常に重要なポイントになってきます。
だからこそ、営業教育にも力をいれたわけです。

 

――着任してから1年以上、CRMの導入とともに営業教育を取り入れた効果というのは出てきていますか?
まずは、CRMの導入により今期、今月、強いては今週の数字、また営業個々人にするといくらの目標数字があるのか、明確にわかるようになりました。今まで感覚的に仕事していたことを考えると恐いですね(笑)それに伴い、いい意味で個々人が競争する意識を持ち始めたことは良い変化のひとつですかね。誰でも成績表の順位が低いのを見て良くは思わないですから。
それと今までPowerPointで作っていた営業報告書が、CRMシステムのデータをそのまま使うようになったことももうひとつの変化です。しかも自発的にCRMツールのデータを使って説明をしてくれるようになりましたので、現場に定着したなって実感しているところです。現場を動かしている、現場の一線のラインマネージャーひとりひとりがリーダーシップを持ち、彼らが本気になって仕事をして初めて、CRMが彼らをサポートし成功するためのシステムとして回りだすのです。さらには、課長部長クラスが「これをやれ」という前に「今週これをやります」という個々人の自発性を引き出すことにも繋がるのです。
それと、売上予測するのに、1日2日の徹夜をしなくても作れるようになりましたね(笑)

会社の流れとしては、日本でのCRM導入の成功が話題になり、他の地域でも取り入れようと、全社的に営業プロセス含めたグローバルなプロジェクトが動き出し、去年10月から全世界で導入されました。


――日本での成功が、全社的なムーブメントを起こしたということですね。
はい、日本発信での標準化というのは、おそらく初めてなのではないですかね。

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――その他現場の意識改革的な部分で打った手はありますか?
営業は基本的に業績給ですが、営業の給料のうち3割ぐらいは業績と違うところで評価するシステムを採用しています。例えば営業教育、アカウントプラン、CRMのデータ関連の項目があって、それも営業の責任であることを明示しています。業績が悪くても、営業のプロとしてやるべきことをやっていれば、その部分はきちんと評価する。こういった評価システムも成功する組織には必要だと考えています。


――CRM導入とともに人事評価も合わせて取り入れるのは、至難の業とよく聞きますが、その当たりはどうアプローチしたのでしょうか?
ここが私の出番ですね(笑)。社内に良き理解者、支援者がいなければ成しえなかったことです。特にエグゼクティブの理解者がいてくれたのが一番大きかったです。


――すでにさまざまな取り組みをされていますが、現時点で加藤様の「やりたいこと」の完成度はどのくらいでしょうか?
7割ぐらいの完成度といったところでしょうか。やらなければならないことがまだ3割も残っています。ちょっとお話すると・・・成功したシステムを硬直化させない手段を見つけること、つまり絶えず状況に合わせた微調整を行うこと、KPIにおいても、売上結果のような遅行指標だけではなく、あらかじめ状況を予測できるような先行指標としての基準を見出し取り入れること、これができれば完成度9割ですね。これもまたチャレンジですね(笑)


――CRMの導入、営業教育、そして人事評価制度の見直しと営業改革の進むべき方向を見出したアイ・エム・エス・ジャパン株式会社。今後の更なる営業改革への期待と将来またそのチャレンジについてお伺いできる日が楽しみです。
今回インタビューに快く協力してくださった同社、営業企画部ディレクター 加藤 修司 様に心から感謝の意を表します。有難うございました。

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