仕事人の知恵<プレゼン編>シリーズ第2回も引き続きブリッジインターナショナル株式会社荒川氏の知恵をお送りします。プレゼン作成に加えて、お客様の信頼を得るためにしていたさらなる工夫をお届けします。
シリーズ第1回はこちら<※プレゼン資料作成のコツは3つ!!>
――前回、プレゼン資料作成のポイントを3つ教えて頂きましたが、少人数向けプレゼンと不特定多数向けプレゼンとで作成時に何か違いはありますか?
資料を作るという意味での違いはありません。ただ、大きく違うのは少人数向けの提案型プレゼンの場合はお客様から細かい質問をたくさん受けるということです。
そのため、お客様からの質問をどれだけ予測して回答を準備しておくか、が大事になります。全体的にプレゼン作成にどれだけの時間をかけられるかにもよりますが、どれだけお客様の立場にたって疑問や感想を想像できるか、その1つ1つに対してちゃんとした答えを用意できるか、にあります。例えば、この話をしたらお客様からこういう質問が来る、こんな話の展開になった時にはお客様はここに疑問を持つだろう、というケースシミュレーションをどれだけ用意しておけるか、ということです。このケースシミュレーションをもとに、質問時どの資料を使って説明、回答するかをバックアップ資料としてたくさん用意していました。
――そのバックアップ資料とはどんな形式のものですか?
ケースシミュレーションごとにどういうものを用意するかによって変わります。Excelでそのまま見せたほうがいい場合もあれば、スライドに落としておく場合もありますし、虎の巻でちょっと手元に置いておく場合もあります。
プレゼンのメインストーリーには組み込まれませんが、バックアップ資料を用意しておくこと、つまりお客様から質問を受けた時的確に回答を示すこと、これがどれだけ重要なことかは今までの経験の中で実感しています。
―――どういったところで実感しているのでしょうか?
お客様がいつも敏感に感じ取るのは、提案する(プレゼンをする)企業が、どれだけ自分たちの(お客様側の)課題を理解して、またそれに対してどれだけ真剣に回答を考えてくれたのか、という部分です。
これはビジネスに限らず、人間関係においても言えることですが、真剣に考えてくれる人に対しては信頼を寄せますが、通り一遍のことしか言えない人に対しては信頼度が薄くなりますよね。
どれだけ真剣に考えているか、を言葉で伝え切るのはなかなか難しいと思います。ですが、お客様から根掘り葉掘り質問を受けた時に、どれだけきっちり答えられるかによって、その真剣さが伝わると思っています。例えば、「その件については検討済みです」「こう考えています」という風に。
こういうバックアップ資料は、特にお客様側から要求されているものではありませんが、できるだけ用意していました。
――用意はしていても、想定外の質問を受けることも多々ありますよね?
当然お客様の頭の中を覗き見ることはできませんので、答えられないものも出てきますが、10個の質問のうち、1、2個その場で答えられず持ち帰りになったとしてもお客様は納得します。逆に10個の質問のうち、2個しか答えられず、8個持ち帰りだったとしたら、何も準備してこなかったのかと不信感を募らせる結果になりがちです。
ケースシミュレーションで完璧さを求めることも薦めていますが、残念ながら完璧になるということは難しいものです。
ただ、どれだけケースシミュレーションを突き詰めることができたか、その深さが相手に伝わる部分だと感じています。
――どこまで突き詰めるか、その加減が難しいですね。
そうですね。この程度でいいと思えば、その程度で終わってしまうシロモノです。自分の中で「この程度」のハードルを引いてしまったらそれまでです。「程度」のハードルを引かずにどれだけ想像の枠を拡げられるか。コンペが激しくなり提案内容に差が出ない場合ほど、この「真剣さ」の部分で受注できるか否かが決まってしまうのです。
――プレゼン資料を作成することに加えて「真剣さ」をお客様へ伝える術を教えて頂きました。プレゼンの出来とともに、評価ポイントとなるこの術を、是非実践してみてください。その効果は自身で感じ取ることができるはずです。
次回、シリーズ第三回目は、あまり語られない苦い経験談をお送りします!